家族の介護や育児でフルタイム働けない方がいらっしゃったり、顧客の都合にふり回されて働く時間帯が一定しない業種であれば、フレックスタイム制の導入を検討してみてはいかがでしょうか..!?

このページでは、無用な残業代の発生を抑え、かつ、従業員のワークライフバランスにも資するフレックスタイム制の導入ポイントについて簡単に説明いたします。

※ 以下の情報は、平成27年8月時点の法律・情報に基づき作成しています。

フレックスタイム制とは何か!?

そもそもフレックスタイム制とは、「始業・終業の時刻を労働者に委ねる制度」のことです。イメージをつくって頂くために、まずは以下の動画をご覧ください。

■ 関連YouTube動画

動画内で示したとおり、労働者は自ら働く時間帯を決め、清算期間(通常は給与計算期間と同じ1ヶ月)内の労働時間総枠を消化していくことになります。

忙しい時、ヒマな時を自分で見極め、働くべき時は働き、休める時は休むことができます。

なお、労働者が自ら決められるのは始業・終業の時刻であって、出勤日と休日まで勝手に決められる制度ではないことも併せてお知りおきください。

コアタイムとフレキシブルタイム

フレックスタイム制を導入したからといって、従業員が個別バラバラに動かれたのでは都合の悪いケースもあることでしょう。

たとえば、電話対応や会議等で、午前10時から午後3時までは必ず勤務して欲しいなら、その時間帯を“コアタイム”として設定しましょう。

この場合、従業員は午前10時より前、午後3時より後の時間帯で、始業・終業時刻を自ら設定することになります。そして、この時間帯のことを“フレキシブルタイム”と呼びます。

残業代の支払対象時間

労働基準法の原則としては、法定労働時間(1日8時間、1週40時間(※))を超えた場合に残業代の支払いが求められます。

※ 業種・規模によっては「1週44時間」となる場合もあります。

動画内でも示したとおり、清算期間が28日(4週間)の場合は、下記計算式から160時間が法定労働時間の総枠となります。

週40時間 ×(28日÷7日)= 160時間

もし、この160時間を超えて従業員が働いた場合は、その超えた分の時間に対し、残業代の支払いが必要となります。たとえば、実際に従業員が170時間働いた場合は下記のとおりです。

①法定労働時間の総枠:160時間
②実際の労働時間:170時間
③残業時間:10時間(②-①)

「やっぱり残業代の支払いは必要なのか..」と思われるかもしれませんが、フレックスタイム制の場合、1日8時間を超えて働いても、それが直ちに残業代の支払対象とならないのがメリットです。

フレックスタイム制が認められるには

上記のとおり、フレックスタイム制は労使ともにメリットのある制度ですが、経営者の方が、「ウチの会社はフレックスタイム制にします!」と宣言するだけでは法律的に認めてもらえません。

就業規則や労使協定にて、必要な事柄を記載する必要があります。詳しくは、以下のリンク先を参照願います。

■ 厚生労働省 フレックスタイム制の採用

人手不足の解消策として

フレックスタイム制を導入するには、気を付けるべき点や多少の手続きも伴いますが、“柔軟な働き方を認めている会社”と求職者からみなされれば、人事確保の可能性も高まります。

また、能力は優秀なのに家庭の事情で働く機会を得られない人材を自社に取り込むことができれば、人手不足解消どころか、会社の生産性アップにもつながるかもしれません。

一度、フレックスタイム制の導入を検討してみることをおすすめいたします。