このページでは、求人票や求人広告を作成する際、注意しなければならない年齢制限について簡単に説明したいと思います。

※ 以下の情報は、平成27年8月時点の法律・情報に基づき作成しています。

募集・採用と年齢制限の原則

募集・採用については、原則として年齢制限を設けることが法律上認められていません(雇用対策法第10条参照)。

原則: 年齢制限は不可

ただし、例外的なケースとして、下記①~⑥の場合は年齢制限をかけることが許されます(雇用対策法施行規則第1条の3参照)。

例外① 定年以下の募集・採用

就業規則で定年を定めている場合、その年齢を上限として募集をかけることが認められています。たとえば、定年が60歳であれば、「60歳未満の方」と求人票に記載することができます。

ただし、この場合(定年60歳)であっても、以下のような記載はできません。

×: 55歳未満の方(上限年齢≠定年年齢)
×: 40歳~60歳未満の方(年齢に下限設定)

また、「契約期間6ヶ月」等、雇用契約に期間を設けることもできない点にご注意ください。

例外② 就業制限のある職種の募集・採用

法律によって特定の年齢層の就業が禁止されている業務については、求人上、年齢制限をかけることが認められています。

たとえば、警備員や深夜に働かなければならない仕事については、18歳未満の就業が法律上禁じられています。この場合、「18歳以上」に限定して求人することは可能です。

例外③ 若年者等の募集・採用

長期間の継続勤務によるキャリア形成が必要な場合は、上限年齢を定めて若年者等(※)を募集・採用することが認められています(主には“新卒採用”をイメージしてください)。

※ ここでの「若年者等」とは、必ずしも35歳未満に限られるものではありません。

ただし、下記の条件を同時にクリアしている必要があります。

・雇用契約に期間を定めないこと
・職業経験について不問とすること(※)
・新卒以外も新卒者と同等の処遇とすること

※ 「簿記2級」等、必要な資格を定めていても実務経験不要であればOK。

求人上、“経験者優遇”という表現を使用すると、結果的に職業経験の有無が条件となってしまう為、この例外③として認められなくなる点にもご注意ください。

例外④ 不足した年齢層の募集・採用

社内の特定職種において、従業員数が相当程度少ない年齢層がある場合、その層に絞った募集・採用をすることが認められています(雇用契約に期間を定めないことが条件)。

たとえば、ある会社において、30代のシステムエンジニアが10名いたとします。この時、20代や40代の同職が20名以上いるなら、30代は「相当程度少ない年齢層」に該当します(※)。

※ この条件に該当するか否かの厳密な判断は、専門家や当局とご相談ください。

この例外④は、技能やノウハウの承継に支障をきたさないことを目的としたものです。

例外⑤ 芸術・芸能分野の募集・採用

たとえば、芸術作品のモデルや演劇等の役者を募集するような場合がこれに該当します。注意して頂きたいのは、この例外⑤は、あくまでも“芸術・芸能分野に限って認められたもの”であるという点です。

ファッションモデルの募集に、「30歳以下」という年齢表現は使えません。なぜなら、それは単に、特定の年齢層に対する商品販売が目的であって、芸術・芸能の分野には該当しないからです。

例外⑥ 60歳以上等の募集・採用

60歳以上の高年齢者の募集・採用を行う際は、その旨、求人票等に記載することが認められています。ただし、「60歳以上70歳未満」のように、上限年齢(ここでは70歳)を設定することは不可です。

このほか、国による雇用促進施策(助成金etc.)がある年齢については、その施策活用を目的として、募集・採用の対象年齢を限定することが認められています。

たとえば、若年者トライアル雇用の対象といて、「40歳未満の方」と求人票に表記できます。しかし、この場合も、「20歳以上40歳未満」のように、勝手に下限年齢(20歳)は設定できません(※)。

※ 若年者トライアル雇用の対象者は「40歳未満」です。

人手不足解消のために

求人票や求人広告の表現は、その会社の労務管理レベルを映し出す鏡です。優秀な人材(求職者)は、その辺りも知識を蓄えてチェックしていますから、くれぐれも気を付けてください。

逆に言えば、ここまで述べてきたような事柄(コンプライアンス)に配慮した求人表現であれば、優秀な人材確保に良い影響をもたらしてくれるかもしれません。

人手不足を解消するには、小さな努力の積み重ねが必要です。「たかが年齢の表現..」と多寡をくくらず、取組んで頂ければ幸いです。