このぺージでは、マイナンバー制度とその対応方法の概要について説明します。なお、以下の記事は、平成27年7月時点の法律・情報に基づき作成しています。

マイナンバー制度とは何か!?

マイナンバー制度の概要につきましては、政府広報オンラインHP(下記リンク先)の情報が分かりやすいです。

■ 社会保障・税番号制度<マイナンバー>

平成27年10月からマイナンバー(個人番号)が付与されること、平成28年1月から社会保障・税・災害対策の行政手続きにおいて利用が始まること等が読みとれます。

マイナンバー制度の目的

前掲リンク先ページにもあるとおり、マイナンバー制度が開始される目的は下記3点です。

・国民の利便性向上
・行政の効率化
・公平・公正な社会の実現

大赤字の国家財政を考えると、一番目の「国民の利便性向上」より、「行政の効率化」や「公平・公正な社会の実現(生活保護等の不正受給防止)」の方が重要な目的なのかもしれません。

“マイナンバー制度対応”とは!?

マイナンバーはとても重要な個人情報であることから、その取扱いには様々な規制や注意点があります。大枠を理解したい方は、下記リンク先にアップされている資料に目を通すと良いでしょう。

■ ガイドライン資料集

ガイドラインの大枠を理解し、さらに詳しくマイナンバー制度への対応方法を知りたい方は、下記リンク先の資料・情報もチェックしてみて下さい。

■ ガイドライン(事業者編) ■ Q&A

少し堅苦しい内容ですが、マイナンバー制度への対応方法をレクチャーする法律職は、この辺りの資料を読み込んだ上でアドバイスしているのです。

もしも、いちいち読み解くのが大変だと感じるのであれば、社会保険労務士や税理士等に相談するのも方法の一つです。

マイナンバー取扱いのポイント

以下、前掲ガイドライン等の情報に基づき、マイナンバー取扱いのポイントを下記箇条書きの順に簡単にふれて行きます。

・マイナンバーの取得
・マイナンバーの利用・提供
・マイナンバーの保管・廃棄
・マイナンバーの安全管理措置

マイナンバーの取得

従業員からマイナンバーの情報を取得する際は、その利用目的を特定・通知する必要があります。利用目的の表現(文例)については、下記を参考にしてください。

・給与所得・対初稿所得の源泉徴収票作成事務
・雇用保険の届出事務
・健康保険・厚生年金保険の届出事務
・労働者災害補償保険法に基づく請求事務

※ 利用目的の表現は、その使途について、マイナンバーの持ち主が一般的・合理的に予想できる程度の具体性があれば良いとされています。

特定した利用目的は、マイナンバーの持ち主に通知する必要がありますが、その方法について厳格な規定がある訳ではありません。下記の方法等を参考にしてください。

・利用目的を記載した書類の提示
・就業規則への明記
・社内LANによる通知

マイナンバー取得の場面において、もう一つ重要なことは、“本人確認”を行うことです。ここでの本人確認とは、下記2点をチェックすることを意味します。

①マイナンバーそのものの真偽確認
②マイナンバー持ち主の身元確認

上記の具体的な確認方法については下記PDFを参考にしてください。少し難しい資料ですが、マイナンバーを本人から直接取得する場合と、代理人から取得する場合に別けて解説されています。

■ 内閣官房 本人確認の方法

マイナンバーの利用・提供

マイナンバーの利用において注意すべき点は、前段の利用目的に示された範囲内、かつ、法律が定めた利用範囲内でしか認められない(人の同意があったとしても不可)ということです。

既に従業員に示した利用目的外で、新たな利用目的が生じた場合は、改めて通知する必要があります。

また、会社が外部機関にマイナンバー情報を提供できるケースは、法律で規制がかけられている点にもご注意ください(正当な理由なく情報提供した場合、罰則の対象となります)。

なお、ここでの「提供」とは、法人格を超えてマイナンバー情報を移動させることを意味します。

もしも、グループ企業内の一社で給与計算業務等を集中的に処理しているのであれば、正式に業務委託契約を締結した上で、マイナンバー情報を提供するようにしてください。

※ 委託元は委託先に対する監督責任も発生します。

マイナンバーの保管・廃棄

マイナンバーの保管についても、法律で認められているケースのもOKとなります。言い換えれば、必要もなく誰かのマイナンバーを保持し続けることは許されません。

保管する必要がなくなったマイナンバー関連の書類・情報は、速やかに廃棄する必要があります。

たとえば、今後マイナンバーが記載されることになる「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、法定の保管期間7年が経過したら、忘れずに廃棄していかなければなりません。

ここでの廃棄は、「復元不可能な状態にすること」です。焼却や溶解、シュレッダー等によって、確実にマイナンバー情報を処分するようにしてください。

マイナンバーの安全管理措置

マイナンバー情報を保護するために、会社は、安全管理措置を講じる必要があります。具体的な内容については、下掲資料14P以降を参考にして下さい。

■ マイナンバーガイドライン入門(事業者編)

資料を読む際のポイントとしては、「本則」と「中小規模事業者」とで、講ずべき安全管理措置の内容が異なっている点です。

上掲資料5P下段にも記載されていますが、“中小規模事業者”とは、従業員100名以下であって、個人情報取扱事業者に該当しない会社のことです。

もしも、自社がこの“中小規模事業者”に該当すれば、安全管理措置については、多少緩い基準が適用されます。

マイナンバー参考リンク集

以上、ざっくりとではありますが、マイナンバーの取扱いに関する注意点について述べさせて頂きました。ご興味のある方は、下記リンクも参照して下さい。

■ 特定個人情報保護委員会HP

■ 内閣府HP

■ 内閣官房HP

■ 国税庁HP

■ 厚生労働省HP

マイナンバー関係のサイトはかなり乱立していますが、特定個人情報保護委員会のページがよくまとまっています。

また、税務関係の手続きについては国税庁HP、社会保険関係の手続きについては厚生労働省HPを参考にする(使い別ける)と良いでしょう。