一部の大手企業で在宅勤務(テレワーク)制度の導入が進んでいますが、優秀な人材の確保や人手不足解消の観点から、中小企業にもぜひ採り入れて頂きたいところです。

しかしながら、労働時間管理の難しさから、二の足を踏まれている会社様も多いことでしょう。そこで、このページでは、在宅勤務と労働時間管理の方法について簡単に説明したいと思います。

※ 以下の情報は、平成27年8月時点の法律・情報に基づき作成しています。

在宅勤務と通常勤務

在宅勤務の対象者だからといって、特別な勤務時間を設定する必要は必ずしもありません。

就業規則の定めに従って、通常勤務者と同じ扱いにすることは可能です。

このとき問題となるのが始業・終業時刻の把握ですが、一般的には、上長へのメール送付にて確認しているケースが多いようです。

在宅勤務と事業場外労働のみなし労働時間制

在宅勤務において労働時間の把握が難しい場合は、一定の条件のもと、事業場外労働のみなし労働時間制(以下「みなし労働時間制」と略します)を適用することも認められています。

※ みなし労働時間制については、労働基準法第38条の2を参照のこと。

在宅勤務においてみなし労働時間制の適用が認められる“一定の条件”の一つに、「使用者の指示により常時通信可能な状態におかれていないこと」が挙げられます。

これは、言い換えると「指示に備えて手待ち状態で待機していないこと」を意味しています。在宅勤務において、みなし労働時間制を導入する際に見落として頂きたくないポイントです。

この辺りの詳細な注意事項については、「情報通信機器を活用した在宅勤務の適切な導入及び実施のためのガイドラインの改訂」を参照頂ければと存じます。

「残業禁止」も一つの選択肢

みなし労働時間制以外に、フレックスタイム制(※)を活用する方法もありますが、ややこしい手法を回避したいなら、いっそ「在宅勤務対象者は残業禁止」という扱いにしてしまうのも一つの方法論です。

※ フレックスタイム制については、労働基準法第32条の3を参照。

間違ってもやって頂きたくないのは、「何となく在宅勤務制度をスタートすること」です。

在宅勤務には自己管理の意識が少なからず必要ですし、通常勤務されている方々から“やっかみ”も出てくる場合があります。必ず、明確に労使間で合意・周知されたルールに則って制度を導入して下さい。

冒頭にて述べたとおり、在宅勤務制度をうまく活用することができれば、人手不足の日本社会で企業が勝ち残って行くための強力な武器になることでしょう。